
はじめに
「セラピスト」と聞くと、皆さんはどんな職業を想像されますか?
心を癒す人、身体を癒す人、五感を癒す人、色々なイメージがあると思うのですが、一般的に「どんなことをしてるか分かりづらい」お仕事の部類に入ります。
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私のお客様に、中医学のサロンを経営している女性セラピストさんがいます。サロンのメニューとしては、ヨガ・黄土漢方よもぎ蒸し・経絡整体の施術が中心です。(興味のない方には、このメニューすら???と言う感じですよね。)
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このセラピストさん、ある時「サロンに籠っていてもお客様はやってこない!」と気づき、地域の色々なイベントに出店を決意します。
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ハンドメイドイベントが主流の地域なだけに、「セラピスト」のブースはかなり異色で、初期の頃は本当に苦労されていましたが、継続して出店することにより徐々に認知が増えて集客できるようになったそうです。
女性セラピストさんからの相談と、ご提案
ある日、セラピストさんからこんな相談を受けました。
「イベントでは売上を上げられるようになったけれど、お客様はサロンに足を運んでくれない。何か来店に繋がるツールがあると良いのだけれど・・・」と。
[br num=”1″]そこで私は、「イベント中でもメニューをひと目で見てもらえ、お持ち帰りいただける3つ折りのリーフレットはいかがですか?」とご提案させていただき、制作することが決まりました。
セラピストさん向けのデザインは、他の業種よりも配慮する点が多い
制作にあたり、まずは10個以上あったメニューと価格設定の見直しを行いました。
また、メニューを面ごとでカテゴリ分けができ、なおかつ1面でもメニューとして見られるよう、統一感を持った構成にしました。
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「セラピストとは分かりにくいお仕事」と初めに表現した通り、サロンに興味を持ったお客様にも分かりやすく、かつ丁寧な説明が必要になってきます。
限られたスペース、しかも顧客層の年齢によっては文字の大きさも重要になってきます。
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そう言った意味では、セラピストさん向けのデザインは、他の業種よりも配慮する点が多いのかもしれません。
幸いにも、セラピストさんは私のデザインをとても気に入ってくださり、スムーズに完成を迎えました。
配布方法や使い方までもしっかり把握しておくべき
これからのグラフィックデザイナーは、納品して終わりではありません。
その後の配布方法や使い方までもしっかり把握しておくべきだと考えます。
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ちなみにセラピストさんは、3つ折りリーフレットをこんな形で使われています。
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イベントに出店し、初めてのお客様がブースにいらっしゃるとします。
イベント用の施術は10〜15分のハンドマッサージや「かっさ」を使った肩こりほぐし。
舌診や脈診などを取り入れながら、お客様の身体の状態を診ていきます。
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セラピストさんによると体の経絡は内臓に繋がっているので、「最近胃が痛くないですか?」とか「目をものすごく使ってますね」など、的確に分かるそうです。
そういった施術をしながら、リーフレットを見せて「サロンではこのような施術がオススメですよ」と、お客様の状態に合ったメニューを提案しています。
リーフレットと説明で心を掴まれたお客様は、「サロンの場所はどちらですか?」と尋ねられるので、裏面の地図を見せてご案内します。
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お客様としても、実際に施術してもらい自分の不調を診てから提案してもらえるので、リーフレットのビジュアルとセラピストさんのお話とで、相乗効果が狙え、いわゆる「勝ちパターンの法則」が出来上がるのだそうです。
集客に貢献できることこそが、グラフィックデザイナーに必要な条件
このセラピストさんに、「リーフレットを使って、どのくらい集客効果がありましたか?」と尋ねてみたことがあります。すると「イベントで使って、数えきれないほどのお客様にご来店いただきましたよ」と、嬉しいお言葉をいただきました。
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グラフィックデザイナーはデザインだけでは無い、集客に貢献できることこそが、これからのグラフィックデザイナーに必要な条件なのだと改めて感じました。
差別化が難しい「ヨガ」のポスティング用のチラシ制作
こちらのセラピストさん、のちにもう1つご依頼をくださいます。実は、施術の他にヨガのレッスンもやっています。
リピーターの生徒さんは何人かおられるのですが、ヨガ部門が少し弱いと感じていらっしゃったようです。
以前制作した3つ折りリーフレットをポスティングすると言う方法も考えましたが、ここは差別化して、ポスティング用のチラシ制作をご提案しました。
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「ヨガの先生」って、本当にいっぱいいて差別化がかなり難しい業種です。
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私自身、体が硬いので「あんなポーズできないわ」と、ヨガにチャレンジしたことはないのですが(笑)、もしかしたらヨガに興味はあっても私と同じで体が硬いからと諦めている人も多いのかも・・・と言うことに気がつきました。
ヨガは呼吸法を大切にするので、体が硬くても全然大丈夫だそうなのですが、先生曰く、「難しいポーズの写真をのせるとハードルが高くなって来店してもらいにくい」とのことでした。なるほど・・・。
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チラシはA5サイズ。ポスティングしやすく、手に取ってもらいやすいサイズに。ひとめで「ヨガ」と分かる写真を使い、文字数少なめの分かりやすいチラシを制作しました。
反響も上々で、お問い合わせやヨガの体験レッスンも増えたそうです。
「営業」をしっかりとしないといけない場面
チラシやリーフレットは1つ作れば終わりではなく、その時々の状況にあったものを作ることが大切です。
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セラピストさんの中には、腕はとてもいいけれどお客様とのコミュニケーションが苦手だと言う方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?
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例えば
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・初めてご来店くださったお客様に、どんなサロンなのかを説明したい
・次回の来店を促したい
・オススメの商品をご提案したい
人間って、口頭で1度言ったくらいではなかなか覚えてもらえません。
[br num=”1″] また、冒頭にも書いた「分かりにくい業種」の方などは、説明が長いと聞いてもらうのも難しくなってきます。
もちろん、コミュニケーション能力を上げることも大切なのですが、ここは一つ、チラシやリーフレット・冊子などの販促物を使って、少しで効率的に営業できるといいですね。お喋りが苦手なら苦手なりの「戦術」みたいなものがあってもいいと思います。
喋りすぎてしまうタイプの人間にはセルフマガジンはうってつけ
私は昨年末に「日本セルフマガジン協会」が推奨されている、会社案内の個人版冊子「セルフマガジン」を制作し、無料で配布しています。A5判8ページの冊子です。
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セルフマガジンは、名刺よりもたくさん情報が載り、チラシやリーフレットよりもしっかりしていて捨てられにくいので、どこに行くにも持ち歩いて配っています。
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これならば、急いでいる方にも「読んでください」と渡すだけで後から興味を持ってもらえるし、お喋りが苦手でも、この1冊で情報を伝えることが可能です。
また、私のようについ喋りすぎてしまうタイプの人間にも、セルフマガジンはうってつけです。大勢が参加する交流会に参加したときなどは、かなりの力を発揮してくれます。
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制作物を配るときも「5W1H」
チラシを制作するとき、私は「5W1H」を的確に表現することをとても大事にしているのですが、実はこれ、制作物を配るときにも同じことが言えます。
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- What・・・何を配るか(販促物の種類)
- When・・・いつ配るか(配布の時期)
- Where・・・どこに配るか(配布の場所)
- Who・・・誰に配るか(ターゲット)
- Why・・・なぜ配るか(配布してどうなりたいかの理由)
- How・・・どのようにして配るか(配布の手段)
クライアント様からの信頼をいただける唯一の方法
制作から具体的な配布方法までをクライアント様からヒアリングし、的確な販促物を作り上げる。
そのためには高いコミュニケーション能力とコンサルティングの要素をしっかり持つことが、これからのグラフィックデザイナーに必要になります。
それこそがクライアント様からの信頼をいただける唯一の方法なのではないでしょうか。