独立後の収入のイメージを具体的に考えられますか?
現在、会社員のグラフィックデザイナーの方の中には独立起業を目指している方も多いと思います。自宅にある程度のソフトや機材が揃えられれば、起業はそこまで難易度の高いものではないでしょう。
ところで、独立したの収入に具体的なイメージはついているでしょうか?
会社員であれば自分で仕事を取ってこなくとも、与えられた仕事をこなせばお給料は毎月支払われます。
しかし独立後は自分で案件を獲得しなければなりません。
現在の仕事の他に案件獲得のための営業の時間も考えなくてならず、そのイメージがあやふやだと自由なライフスタイルとは程遠い生活になってしまうかもしれません。
それを避けるためには少ない営業で会社員時代のように安定的に仕事をこなせるようなしくみ作りが必要です。
そこで今回は、独立前からしっかりと継続収入のモデルケースの考え方をお伝えいたします。
独立後の収入は現在の収入を軸に考えてみよう
あやふやなイメージを具体的なものにするには、しっかり数字を整理していくことが大切です。
そこでまずは目標の年商を決めます。
独立してすぐであれば目標は現在の手取りと同じくらいがオススメです。
今、自分はいくらくらいもらっていて、そのためにはどんな仕事でどれくらいの報酬を得ればいいのか?具体的に数字に落としこんで考えてみましょう。
ここでは、仮にもうすぐ会社の中堅にさしかかるくらいの会社員デザイナーが独立を考え始めたと想定して実際に計算してみます。
独立を少し考え始めるくらいの時期ですと、仕事もそれなりに肩についてきて収入は大体手取り30万程度でしょうか。
独立後もそのくらいの生活水準が保てるよう、同じくらいとはいかなくとも、月手取り30万、年商400万を目標に計算をしてみます。
まずは計算のもととなる仕事の内容と報酬の整理から
数字で落とし込んでいくので、まずは自分ができることとそれに見合う報酬はいくらなのかを棚卸ししていきます。難しく考える必要はなく、「グラフィックデザイナーに作れるもの」「自分が自信を持って提供できるものはなんだろう」と自問しながら羅列します。ぜひ、皆さんも書き出してみてください。
名刺デザイン
チラシ
パンフレット
カタログ
会報紙、社内報
店内の案内掲示物
HP製作・修正
などなど…結構ありますよね!これだけお金に変えられるものがあるというだけでも希望が持てるのではないでしょうか?
作れるものが整理できたら、それに報酬を割り振っていきます。名刺のデザイン5万、チラシ7万、パンフレット10万…といった形です。
理想の月収に必要な案件を逆算で考えよう
「数字で考えて!」というと数字に苦手意識が強い方はパニックになってしまうかもしれません。
しかし、月収のイメージを作る程度なら小学生でもできるような簡単な計算式です。(案件×案件ごとの報酬)の和が収入になります。
ですから月収30万を目指すなら、30万になるためにどの案件を何本こなせばいいのか、考えるだけです。
例えば、5万円の名刺デザインの案件を2本と7万円のチラシ2本、10万のパンフレット製作を1本請け負ったとすると
5万x2件+7万x2件+10万x1件=34万
月収は34万円と、すぐに30万を超えます。
このように自分ができる仕事の単価と案件数を掛け算して自分の目標数値が達成できるように組み合わせてイメージを具体化します。
グラフィックデザイナーが収入の計算で見落としがちなこと
さて、計算によってイメージが具体化するのはいいのですが、案件について考える際、絶対に見落としてはいけないことをお伝えします。
それはいかに継続して収入を得ていくか、という視点です。多くのフリーランスの方が陥りがちなミスが、案件を取れてすぐに安心してしまうことなのです。
いただいたお仕事をしっかりと行って、納品、終了とお仕事が単発で終わってしまうことです。
これではせっかくいい仕事をしても、常に新規の営業をしなければならず、安定した生活は程遠くなります。冒頭に書いた通り、フリーランスになると仕事の保証はありません。
自分で獲得しなければならないので、自分で安定的に案件を獲得できる仕組みを作っていかなければ安定的な収入は望めないのです。
ですから、例えば名刺を頼まれたら名刺を作る、それではダメです。ちゃんと他の商品も一緒に売り込んでいきましょう。
売り込みが苦手、という方はセット売りをすることもオススメです。「これとこれとこれ、バラバラで買うとこの価格なのになんとセットで…!!」という謳い文句は通販番組などでも見たことがあるのではないでしょうか?
人は損をすることが嫌いなので、強く営業をかけなくても魅せ方だけで高い商品が売れることは多々あります。
通販番組のトークやセット売りの方法、ほかにも街中のお店やネット通販など、売れている商品の売り方を参考にしたりして、案件が単発で終わらない工夫を随所に盛りこみましょう!
フリーのグラフィックデザイナーの理想の収入モデル
それでは次に年間の収入のモデルを、具体的な業種も挙げながら見ていきましょう。
<<とあるフリーのグラフィックデザイナーの収益モデル>>
クライアント(1)学習塾2社
それぞれにHP年間数回の修正で50万、チラシ6,7回で40万、リーフレット10万で1社で年間100万。合わせて年間200万
クライアント(2)飲食店
毎月10万でチラシの作り放題プランを提供。年間120万。
クライアント(3)広告代理店
前職からの縁で広告代理店さんから毎月8万円の広告制作案件をいただく。年間96万
いかがでしょう?クライアントの数はたった4社ですが、これだけで年商416万を達成しており、目標の月収30万は得られてます。このモデルの見習うべき点は全ての案件が継続収入であることです。こういった収入の基盤が年間で作れてしまえば、必死で営業を繰り返すこともありませんし、目の前の仕事に集中することができ制作物のクオリティの上がっていきます。
おすすめの業種は月謝制の会社
年間の安定収入を得たいなら、年間を通して安定収益が得られている業種・業態とお仕事をさせていただくのがおすすめです。
例えばモデルケースでお伝えした学習塾はまさに月謝制。しかも定期テストや長期休暇の講習を行うごとに必ずチラシをまくので、グラフィックデザイナーにとってはとても相性のいい業種と言えます。
学習塾以外にも会員制のビジネスをやっている会社は案件が豊富ですので、ぜひコネクションを持てるように努力してみてください。
また、月謝制のビジネスではありませんが、パン屋さんやケーキ屋さんなど季節ごとに告知をする業種業態もオススメです。
1年間チラシ作り放題のプランやこちらから年間計画を立てて、毎月定額をいただくようなお付き合いができると安定収入につながります。
また、すでに取引のある広告代理店さんと会社をやめてもお付き合いが続き、独立後も継続して案件を頂けるケースもよくありますから、会社に在籍している今のうちから、継続したくなるような仕事ぶりをしておくことも非常に重要なことです。
独立したいなら安定収入のための継続案件を狙う
グラフィックデザイナーは、独立起業をイメージしやすい職種と言えます。
しかし、独立すると安定的に収入が入らない状態になるので、会社にいる状態とはガラリと環境も精神状態も変わるので、思いもよらなかったことが起きたりします。
そのため事前に独立後のライフスタイルを可能な限り具体的に考えておくことをおすすめします。
その中でも、生きるために必ず必要なお金、収入面のことは、数字を使って客観的によく考える必要があります。
まずは「継続」をテーマに安定的に収入が得られるような仕事の取り方、業種、その業種にとって魅力的な年間商品などを考えてみてください。
独立前にクライアントが喉から手が出るくらい魅力的と感じる年間メニューや商品を作っておけば、あなたのビジネスは独立直後からトントン拍子に進むでしょう。
いつかはフリーランスになりたい、とお考えの方は、ぜひ現在のクライアント様などを研究し、継続案件獲得の方法を探ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。