
はじめに
初めまして。私は今、「外部デザインパートナー」として働いています。
まず、「外部デザインパートナー」って何?って皆さん思われていることでしょう。
私は長く続けてきたこの働き方を、ずっと長い間、どう人に伝えたらいいものかと考えてはいたのです。
一言で説明すると、小規模企業に定期的に訪問して、販売促進にまつわる企画やデザインを提供している。というスタイルです。
所属のデザイナーでもない、フリーのデザイナーでもない
もともと仕事内容は、商店さんのパッケージのデザイン、イベントチラシ、店内POP作成、DM作成などが主なもので、それを印刷会社やデザイン会社に所属してヒヤリングして作成するのではなく、どちらかというとお店側でお店が必要なものをお店として店内事務所内でデザイン作成し、印刷に出すものは印刷会社につなぐ、パッケージ専門会社につなぐ、という形です。
また、フリーのデザイナーとしてチラシの作成・○○のデザインとして仕事の発注が来るというのでもなく、毎日出勤するわけではないけれど、定期的に出勤する「クライアント様のデザイン部門」のような形で、月定額で契約しています。
毎月DMを発送したり、月毎、季節ごとにイベントをしたりするクライアント様ばかりなので、その形態でずっと継続して十数年です。
グラフィックデザインだけじゃない
時代の流れとともに、PR媒体が紙からWEBへと拡大していく中で、「HPをつくりたい・SNSでも宣伝したい・LINE@がいいのかな??」という、クライアント様のエンドユーザーへの情報発信方法の増加とともにその対応への要望が増えていきました。
必要に迫られ、店の者として勉強もさせてもらいながら、「クライアント様の広報部門」として、紙物のデザインから、HPのデザイン監修・運営、SNS・LINE@の記事ライティング、代行配信なども仕事の範疇になってきました。
web作成会社とのやり取りや、LINE@取扱会社との打ち合わせなど、「専門用語はちょっとわからんから・・・」と同席を求められてそのまま自分の担当に移行していくことも多く、クライアント様の思いをシステマチックに専門業者に伝え、専門業者の言葉を噛み砕いてクライアント様に伝える、そんな橋渡し的な立場としても役立ってると自負しています。
働き方に特徴がある
この働き方の特徴は、クライアント様の事務所で定期的に仕事をするということで、たまに顔を出す外注業者ではなく、非常駐の社員のような感覚で仕事ができるようになってくるところだと思っています。
そこの空間に身を置いている間に、現場の色々な空気を肌で感じ、デザインしたものを利用する従業員との連携も取りやすく、エンドユーザーの反応の把握もしやすい。なので、新たな気づきや発見もあり、提案もこちらからしやすいのです。
また、クライアント様も相談してくれやすい状況が定期的にずっとそこにあるのです。そのために、どんどん依頼の分野が広がってしまうこともありますが…。依頼の窓口の社長や担当者様のみならず、多くの関係者と関わることもでき、ますますクライアント様の会社に愛社精神が湧いて来る訳です。
コミュニケーションをとらせる力
想いを形にしたり、デザインを決定したり、デザインしたものを有効に利用したり、それで成果を上げたりするためには、思いのほかいろんな人のコミュニケーションがスムーズかどうかに左右されます。
デザインの必要を感じ依頼してくださる社長とそれを現場で利用しエンドユーザーの声をじかに聞く従業員の人達とで意見のすり合わせのできてないことも多く、手戻りの多い時期もありました。
そこで、あるクライアント様では定期のミーティング開催を提案し、ファシリテーターとして参加して、社内での意見の交換を促しや決定事項を確認、情報周知徹底まで見届けて、あらゆるデザインの計画的な作成を企画から進めることができています。
クライアント様によっては、会議を持つほどではないけれど、決定権を持つキーマンと、現場のキーマンのコミュニケーションの橋渡しをして、トラブルや手戻りを回避して思うように進めることもしばしば。それは長期にわたって時々来る外部のものだから出来るという利点もあったりするのです。
そんな外部だからいい距離感と定期的に内部にいる身内感、クライアント様の夢と利益のためにデザインし、長期にわたって信頼関係にある立場を表すのに「パートナー」という言葉がしっくりくると思ったのです。
あくまでも主従関係ではなく、請負の関係でもなく、クライアント様と一緒に対等に考え作り喜び進化しながら、同じ方へ向かって走っていく形が「外部デザインパートナー」の姿だと思うのです。
悩みは、単価を上げる難しさ
そういう働き方だからこその悩みはありました。月定額の単価を上げるタイミングが難しいということです。
仕事の幅が広がった事でクライアント様のほうから上げていただいたことはありましたが、あるクライアント様では思い切って単価アップの提案をしたときに、社長は機嫌よく承知してくれたのに不服に思った人のことも耳に届き、トラウマになりました。
また、長期なお付き合いになり身内意識でついついすることが増え、仕事をすればするほど目減りする気がして明らかにモチベーションが落ちた時期もありました。
これは、もともと初めにきっちりこれこれこういう仕事をするのでこの金額という契約を交わして始めたものではなかったのが原因でした。
そして必要に迫られていつの間にか仕事が高度になり、多岐にわたっていって仕事量が増え、サービス残業ならぬサービス出勤してしまうことも増えていました。
単価UP へチャレンジ
そこで、改めてクライアント様ごとに現在している仕事の洗い出しをして、前回UPしてもらった時点との違いを自分なりに把握しました。
そのうえで、クライアント様には新規顧客開拓のための参考にとアンケートを実施。アンケート内容は、私と契約した当時の理由や貢献度を思い起こすような内容、紹介するならどのように紹介するかなどをいれました。
あるクライアント様はその「新規顧客開拓のために」という言葉を聞いたとたんに何かを察し「どういうことや」と話す機会を作ってくれました。そこで、顧客を増やしてうちが手薄になるのは困るとの話から、仕事量も増え、質も立場も変わってきていることを伝えると、単価のUPを申し出てくださいました。
また、別のクライアント様はアンケートに答えてくださったので、その内容の良かったことに少し自信を持ち把握し直した仕事の変遷を糧に、思い切って給料関係のキーマンに、単価UPの交渉を持ち掛け検討していただき、無事UPにこぎつけました。
外部デザインパートナーとして契約するなら
外部デザインパートナーは、契約するときに、する仕事の内容を書き上げておくことが望ましいと思います。そして、何年ごとにまた、仕事内容が増えた場合に、とか契約金額を交渉するタイミングを必ず契約書に明記しておくべきだと思います。
長くパートナーとして携わることを基本としていますので、気持ちよく長く付き合っていく前提で、どんどんともに進化していく契約にしておくのがベストだと思います。
私も今後、新規のクライアント様と契約するときには明確な契約書を交わそうとワクワクしています。
まとめ
いかがだったでしょうか?こんな働き方のデザイナーもいるのですね。
ずっと必要とされる人であることがパートナーとして長くやっていく秘訣なんでしょうね。
自分に合ったいろんな働き方を、いろいろデザインしてみましょう。