グラフィックデザイナーの現実

はじめに

グラフィックデザイナーは、独立起業をイメージしやすい職種と言えます。

デザインの知識とグラフィックソフト等の環境が整い、それまでのある程度の経験や実績があれば、先行投資も仕入れもいらないですから、費用面を考えても独立は「夢」というほど、遠いものではないでしょう。

しかし、現実パソコンやスマホが普及しきった今日において、グラフィックデザイナーの出番は減る傾向にありますし、一方でライバルは星の数ほど存在します。

クラウドソーシングサービス等の普及や、AIの台頭なども考えると、売れるデザイナーと売れないデザイナーの二極化は必至。

今後益々フリーランスのグラフィックデザイナーが生き残っていくことは、茨の道と言っても過言ではありません。

「安定」が欲しいなら、会社員デザイナー!?

「安定」が欲しいなら、会社員デザイナー!?

デザイン事務所などの会社員としてグラフィックデザイナーをしていると、遅かれ早かれこんな疑問が湧いてきます。

それは、「この案件の売上は○十万円。自分が個人で直接受注したら、ほぼ利益なんだよな?独立した方がトクなんじゃないかな?」というものです。

もしあなたが会社員グラフィックデザイナーなら、きっと一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか?実際に独立をすると、確かに手元に残るお金は従業員時代とは比べ物になりませんが、その分大きな負担として伸し掛かってくるのは、「安定的な収入源を見つけないと…」という思いです。

グラフィックデザイナーは、案件によっては数十万円、百数十万円という規模の売上が立つことがありますが、安定という側面から見ると、なかなか難しいのではないでしょうか。

いわゆる税理士さんの顧問報酬のような、「毎月定額○万円」という案件(社内報やかわらばん、定期的なチラシ制作等)が一つでもあれば良いのですが、そういった案件に運良く巡り合える人ばかりではありませんし、いつその企画が頓挫するかもしれません。

会社員デザイナーであれば、最悪、一ヶ月売上が立たなくても給与は貰えます。しかしフリーランスデザイナーは、当たり前ではありますが、売上を立てないと生活をしていけません。

安定を求めるなら会社員デザイナー、フリーランスのデザイナーを目指すのであれば、独立前の早め早めの根回しや顧客作りが必要になってきます。

体験談から見るフリーランスグラフィックデザイナーの現実

業績を伸ばすフリーランスのグラフィックデザイナーと、廃業するフリーランスのグラフィックデザイナーの違いは何なのでしょうか。

今回は、一度フリーランスになったものの、なかなか売上が安定せずに廃業してしまった実際の体験談を見て行きます。

Tさん(32歳独身男性 フリーランスグラフィックデザイナー歴5年)

デザイン会社勤務時代に、たまたま居酒屋で知り合ったある会社の経営者さまからの誘いで、副業でその会社の「お抱えデザイナー」になりました。

経営者さんはデザインや販促に疎くとても頼りにされていて、毎月30万円以上の支払いをいただけるという契約になったので、思い切って独立しました。

約3年間、その会社からの収入があって生活が安定していたのですが、突如契約を解除されることとなり、収入が不安定に。

思い悩んで軽い鬱にもなっていました。

その後、生活していくためにどうやって仕事を取って良いのかわからず、「飲みニケーション」で仲良くなった経営者や事業主から依頼をいただくも、名刺などの小さい案件ばかりでかなり疲弊しました。

いろんなところへ出向いて行って名刺を配って営業したり、地元の企業のホームページの情報を見てテレアポをしたりもしましたが、不安定な収入から抜け出せないままでした。

また、たとえ仕事が取れてもどこか下請け的な扱いをされるのが常で、自分は便利屋そのもの。
「安く」「早く」を要求されてしんどい日々でしたね。

あれから1年が経ち、今は都内のホテルでウエイターのアルバイトをしています。

間もなく社員登用となる予定です。今振り返ってみると、独立前にもっとマーケティングについて徹底的に勉強をしておくべきだったと思います。この点については後悔しています。

単価を上げる技術、仕事を取る技術、リピートを獲得する技術、、、こういった技術が自分には無かったし、必要であることを知らなかったですね。

ただただデザインのスキルだけで仕事をしようとしていたことが間違いだったのかもしれません。甘かったです。

Kさん(29歳独身女性 フリーランスグラフィックデザイナー歴2年)

編集社でエディトリアル系のグラフィックデザイナーとして働いていました。とにかくデザインが大好きだったので、仕事は楽しかったのですが、深夜残業が多く体が疲れ切ってしまっていました。

間もなく30歳になるので、将来のことや体のことを考えて独立起業しました。最初は知り合いから小さな仕事が継続的に来ていてそれなりに安定していたのですが、金額にすると数万円で、お小遣い程度の収入レベルからなかなか抜け出せずにいました。

安定的な売上を上げ続けることが非常に難しく、今はデザインが副業になってしまい、事務のアルバイトでなんとか収入のバランスをとっているところです。

グラフィックデザイナーの仕事は、会社員時代はそこそこ高額だと思っていたけれど、独立すると相場的にかなり易く、値切られることもしょっちゅうで、「こんなにお金にならないなんて、、、」と落ち込むこともよくありました。

フリーランスのグラフィックデザイナーで、どんどん単価を上げても仕事が来ている人もいるので、そういう人がどうやって案件獲得をしているのかが、とても気になります。理想は事務のアルバイトを辞めて、デザインの仕事だけで生計を立てていきたいと思っています。

Aさん(フリーランスグラフィックデザイナー歴3年)

今回の独立は2回目でした。

29歳の時に一度独立し、前職からの繋がりで編集社などから定期の仕事を幾つかいただいていて、そこそこ安定はしていました。

ただ、あまりの激務に体調を崩してしまうことを繰り返し、このままでや続けられない…ということで、35歳の時に前職とは別のデザイン会社に再就職しました。その後、結婚と同時に2度目のフリーランスへの道を選びました。

夫の収入があるので、前回の独立の時のように体調を崩すほど仕事を受ける必要はありませんでしたが、収入は不安定でした。企業でデザイナーとして働いていた時のデザイン単価がわりと高額だったので、独立してからの単価の付け方に葛藤しましたね。

経験あるデザイナーとして安価な設定はしたくないという気持ちと、デザイン会社という看板がないので、高過ぎると目も留めてもらえないのではないかという思いで、いつももやもやしていました。

価格・スケジュール・提案内容など全てにおいて、下請けではなく自分主導で進めて行きたいと思っていましたが、そのやり方がわかりませんでした。

そんな中、知り合いのデザイナーからの誘いで、あるデザイン会社に再々就職が決まりました。フリーランス時代は自由でとても楽しかったけれど、依頼をもらい続けるためのマーケティング活動が常に必要で、そのやり方もいまいちモノに出来ていなかったですね。

まとめ

フリーランスのグラフィックデザイナーの現実は、売れるデザイナーと売れないデザイナーの二極化は必至。今後益々フリーランスのグラフィックデザイナーが生き残っていくことは、茨の道と言っても過言ではありません。

体験談からも読み取れるように、フリーランスのグラフィックデザイナーとして成功するには、マーケティング活動を独立前からいかに効率的に行っておくかが鍵と言えます。

また、仕事が取れても忙しすぎて体を壊すというリスクもありますし、また、仕事が取れないと疲弊するというリスクもあります。

独立前からの入念な準備と心構えがとても大切です。

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