はじめに
多摩美術大学は国際色に対応できる人材でかつ教養に富んだ人格の形成を図っています。また大学では現代社会に役立つ活動を行っている芸術家の方やデザイナーの方を増やしていきたい。さらに教育研究者の育成を目的にして教育研究の内容の充実を目指しています。
教育理念
多摩美術大学の教育理念は芸術の専門的な技能の習得や訓練においています。ただそれだけでは人間の部分が欠けた単なる職人の域で留まってしまいます。そこで多摩美術大学では次のような理念を掲げています。
1つ目は懇切な実技指導・2つ目は学理の尊重・3つ目は人間の主体性の確立と創造性の開発です。技術と学問そして人間力を上げていくことで総合的な芸術家になっていただきたいと考えています。
学科
多摩美術大学は美術学部と大学院美術研究科があります。以前は造形表現学部もあったのですが学生数の減少によって学部自体が廃止になってしまいました。
美術学部では絵画学科・彫刻学科・工芸学科・生産デザイン学科・環境デザイン学科・情報デザイン学科・芸術学科・統合デザイン学科・演劇舞踊デザイン学科・そしてグラフィックデザイン学科があります。
さらに絵画学科には日本画専攻・油画専攻・版画専攻があります。また生産デザイン学科にはテキスタイルデザイン専攻とプロダクトデザイン専攻とがあります。
単なる芸術を極めるだけのものではなく、そこから社会的・経済的にどのように発展させていく科までをしっかりと練り込まれた学科構成になっているところに好感が持てます。
大学院では修士課程と博士課程があります。学部で学んだことをより含めていくことで学問的な見地を高めていきます。
美術学部での共通教育
多摩美術大学の美術学部の共通科目を紹介していきます。美術や芸術を学ぶ上では欠かせない普遍的な部分を学んでいきます。
1つ目は美術科目だけに偏らないようにするための教養科目を学んでいきます。その中には哲学・法学・歴史学・マーケティング・ひいては憲法・数学などの美術には全く縁のない学問も学んでいきます。そのような学問を学んでいくことで芸術の幅を広げていくという目的もあるのかなという気がします。
2つ目は美術の基礎専門を学んでいきます。芸術を行っていく上では必要な複眼的な視点を学んでいきます。美術史・デザイン史・建築学などの幅広い歴史や沿革の部分なども学んでいきます。どの学問も今までの歴史があって現在ができています。このような歴史を学んでいくことで今後どのような方向性に向かって学問を進めていくかのモデルにもなっていきますので重要な科目といえます。
3つ目は言語を通してのコミュニケーション能力を磨いていきます。ここでは英語・仏語・独語・英会話などを中心にして話す力を身に付けていきます。いくら芸術的なセンスや技術があってもそれを売り込むことやアピールする力がなければ芸術家として生き抜いていくことはできません。社会に出てからはこの部分がすごく重要になってきます。
4つ目は幅広い部分に興味を持っていただきます。芸術をより仕事に生かしていくために必要な情報工学・アカデミックスキル・生活と美術などを学んでいきます。ITリテラシーをつけていくことは芸術家を目指していく上では絶対に外せない部分ともいえます。
今までは美術学部の総論のことを書いていきました。さてここからは各論の部分に入って行きます。その中でもここではグラフィックデザイン学科に絞って記述をしていこうと思っています。
どのようなことを学んでいくのか
グラフィックデザイン学科では問題解決のできる次世代のクリエイターを育成していきます。80年の歴史がありますので広告業界・イラスト・アニメ・グラフィックデザイン業界をはじめとして多くの優秀な人材を輩出しています。
最近ではビジュアルコミュニケーションに力を入れています。時代に対応できる独自性に満ちたデザイン教育を行っていきます。また豊かな造形力や明晰な発想力を持って問題解決のできるクリエイターを育成していきます。
少数精鋭の指導体制を採っていますので生徒自身が主体的にかつやりがいを持って課題に取り組むことができるような内容になっています。
教育課程
多摩美術大学では今後必要なビジュアルコミュニケーションのできるプロを養成していきます。そのために必要な造形力や発想力を養っていきます。伝える描写力と伝わる造形力を培っていきます。
1年次では造形力・構成力・表現力・発想力を習得していきます。色彩・形態・素材・構成などを学んでいくとともにITなどの基礎実習を学んでいきます。また専門英語などの語学も習得していきます。
2年次では造形力や発想力だけでなく多様な表現方法や技術を習得していきます。基礎力を確実にするとともに専門課程への礎を作っていきます。映像・立体・サイン・タイポグラフィ・写真・ポスターなどの表現方法などを学んでいきます。
3年次ではビジュアルコミュニケーションの高度な専門知識だけでなく計画の立案力そして表現技能を学んでいきます。専門課程ではアートディレクション・クリエーション・グラフィックデザインの3コースを組み合わせて履修をしていきます。生徒個々の個性が出るような指導を行っていきます。
アートディレクションコースではアートディレクション・パッケージデザイン・CMディレクションなどの制作実習を行っていきます。目的を解決するための表現を計画して効果的に伝達していくことを学んでいきます。
クリエーションコースではイラストレーション・アニメーション・写真の制作実習を行っています。自己表現の大切さと情報伝達のための重要な表現を学んでいきます。
グラフィックデザインコースではグラフィックデザイン・タイポグラフィなどの演習や制作実習を行っています。またグラフィックのコミュニケーション表現を行っていきます。
4年次は3年次の延長線で学んでいきます。また卒業作品制作を行っていきます。広告やデザイン業界に就職する方にはこの制作なども重要な意味を持つかもしれません。
履修科目
多摩美術大学の履修科目を紹介していきます。ビジュアルコミュニケーションの技能をつけるためのカリキュラムとなっています。
1年次では基礎造形1で西洋・東洋美術史・基礎デッサン、基礎造形2で色彩・形態・構成・動作、知覚とコミュニケーション・コンピュータ基礎実習・文字デザイン・スペーシング・組版デザイン・木彫や金属の立体作品制作・ビジュアルデザイン基礎概論・グラフィックデザイン原論・色彩計画論・ソーシャルデザイン論・英語デザイン学などを学んでいきます。
2年次では基礎デザイン1で西洋・東洋美術史を縦軸で、基礎デッサン課題、エディトリアルデザイン、Webデザイン、ムーブメント、映像、立体、サインデザイン、グリッドシステム、ロゴデザイン、ブックデザイン、ブレーンストーミング、マインドマップ、アイデアスケッチ、ラフスケッチ、発想の定着、スタジオ実習、カメラ実習、デジタル実習、ポスターデザイン制作、塑像、FRPの立体作品制作などを学んでいきます。
また2・3年次を通して印刷概論・イラストレーション原論・ビジュアルデザイン論・サインコミュニケーション論・広告史・広告コピー論・写真表現論・近代西洋美術史・デザインマネージメント・デジタルクリエイティブ論・アニメーション原論などを学んでいきます。
3年次ではアートディレクションコースで広告発想・実践広告キャンペーン・パッケージデザイン・CMディレクションなど。クリエーションコースではビジュアルパワー・コンセプチュアルイラストレーション・メッセージイラストレーション・オリジナル短編制作・自己表現としての写真など。グラフィックデザインコースでは伝わるデザイン・スタンダードと展開・新しい表現・新しい編集・和文グラフィック・欧文グラフィックなどを学んでいきます。
4年次では3年次で学んだアートディレクションコース・クリエーションコース・グラフィックデザインコースを引き続いて学んでいきます。また卒業作品制作も行っていきます。
4年間を通してグラフィックデザインの科目を体系的かつ横断的に学んでいきます。また理論科目と実技科目を統合して学んでいきます。また一般教養科目や基礎のデザイン各論の科目を1・2年次、複合デザイン部門や卒業制作などの専門課程を3・4年次で学んでいきます。また3・4年次では教員・研究室との連携体制で生徒や学校生活をサポートしていきます。
就職実績
ここからは再び多摩美術大学の全生徒に対しての記載になります。
多摩美術大学では卒業後も表現力や計画力を高く評価されていることもあって就職先もディレクター・デザイナー・プランナー・イラストレーター・アニメなどの部門で幅広く活躍しています。グラフィックデザインを生かした就職をした方も多くいます。また大学院進学や海外留学などでデザインの力をさらに磨いていく方もいます。
就職先の一例としては、イーディーピーグラフィックワークス・クリエイターズグループMAC・ヘルベチカデザイン・サンリオ・中央印刷・旭プロダクション・NHKアート・テレビ朝日クリエイト・日本テレビアート・デジタルアイデンティティ・エイトブランディングデザイン・GKグラフィックス・ブライダルプロデュース・教員・多摩美術大学スタッフなどです。また花王・フジテレビ・パナソニック・博報堂などの有名大企業に就職をされている方もいます。
グラフィック関係の会社にも就職をされている方がいます。好きなことを学んで専門的なところで就職できる。何ともうらやましい限りです。
学生生活
多摩美術大学では学生の生活データなどもあります。3名に2名程度はアルバイトを行っています。その中の3割程度は月8万以上のアルバイトで生計を立てています。また親からの仕送りも月平均5万3000円程度と決して多くありません。
現在の大学生・専門学生の2名に1名以上が奨学金を利用して進学しています。そうなってくると医系・薬系・理系・芸術系などのお金のかかる私大に行く方は資金的に恵まれたご家族もしくは奨学金とバイトを必死に行って学生生活を行っていくという学生が多いのかなという気がします。
またサークル所属者が全体のおよそ3割程度と多くありません。それだけサークルには時間が使えずに学業とアルバイトに時間を取られてしまうなどの実態がありそうな気がします。
実は筆者は15年前くらいにスーパーの店長をしていました。その時はサークルに力を入れたいのでバイトを辞めたい・変えたいという相談を何度も受けたことを思い出しました。当時はバイトよりもサークルの方が優先順位の高い学生が多かったということです。ただ今では完全に逆でバイトの方が優先順位が上になっている生徒が多いのかなと感じています。これも時代の流れですかね。
入試科目
多摩美術大学の入試科目は一般入試とセンター試験併用入試があります。また推薦入試も行っています。いろんな試験方法で多くの学生を確保しようと必死になっています。
最もオーソドックスな選考方法は一般試験の英語・国語・実技試験という科目です。私立美大の入試方法だとこのパターンがぱっと見で浮かびます。芸術学科はプラス小論文が入ります。
2つ目はセンター試験で英語と国語そして実技試験という科目です。上記との違いは英語と国語が記述式なのかマーク式なのかの違いになりそうです。英語と国語はいずれにしても重要ということですね。また芸術学科はプラス小論文が入ります。
3つ目はセンター試験のみの入試になります。数ⅠA・数ⅡB・理科1科目・英語もしくは国語の4科目で行われます。この組み合わせだと理学部などの理系科目の入試を思い出します。環境デザイン・情報デザイン・統合デザイン・演劇舞踊デザイン学科のみが対象になりますのでグラフィック学科の方は関係ありません。
4つ目は推薦入試で自己推薦入試もしくは公募制推薦入試のいずれかを選んでいただくことになります。調査書・高校長などの推薦書・小論文・面接試験・実技試験などで専攻します。専願を強く願っている方など制約も強くなっています。何かこの推薦入試が最もハードというか厳しい試験になっているような気がします。
グラフィックデザインで食べていきたい方に
大学を卒業したらフリーのグラフィックデザインで食べていきたい
卒業後広告関係やデザイン関係でグラフィックなどのデザインを経験も自分なりのグラフィックデザイン感があるので独立したい
結婚して今のデザイン会社を退職をしてしまったけど少しでもグラフィックデザインを生かして収入にしたい
このような方は特にこの「グラフィックデザイナーの教科書」サイトをしっかりと読んでいただきたいです。
このサイトではグラフィックデザインの基礎を学べるだけでなく、デザインの技術を付けた後の営業手法・パートナーやクライアントの見つけ方・さらにそのような方と良き関係を継続していくためにはどのようなことをしていけばいいのか・どのようなことを意識して行っていくべき必要があるかなどグラフィックデザインのプロフェッショナルになるためのことが多く書かれています。
グラフィックも含めたデザインの高い技術を所持していても、その活かし方や売り込み手法を知らずに収入に成り立っていない・全く別の仕事をしているなどの方が多くいるのが実態です。
大学の就職実績を見るとあたかもほとんどの方が芸術系やデザイン系の仕事で生計を立てているように見えますが、グラフィックデザインを目指している多くの方は専門分野を活かした収入をほとんど取れていないというのが実際のところです。
そのような矛盾点を少しでも解消したいという目的で作られたのが、この「グラフィックデザイナーの教科書」です。
実は、グラフィックデザイナーの教科書の管理人もデザイナーです。
皆さんと同じところから始まり、グラフィックデザインを活かして現在は何百名程度のクライアントやパートナーがいます。年間に100万円以上を払う大口のクライアントも出てきています。
このようなことができている大きな一つの理由に「人を大事にしている」という点があります。
技術は必須ですが、技術をつけただけで上手くいっている人は見たことがありません。
デザイナーというと、デザイン技術ばかりに目がいきがちですが、どこまでいっても結局はビジネス。
お金をお支払いするならば、好きな人とお付き合いした上でお支払いしたいと思うのは、皆さんも同じではないでしょうか。
前職のデザイン会社の方にもたまに連絡を取っている・グラフィックデザインのセミナーなどに行って腕やセンスのいい人には必ず声をかける・建築やWEB事業などで成功されている方をクライアントにしている・仕事と育児などを含めた家庭の優先順位をしっかりとつける・こまめな対応を心がける。
このようなことをしっかりと行うことで多くの良き仲間、クライアントに恵まれています。
稼げるグラフィックデザイナーになりたいという方は、まずこのサイトをしっかりと熟読していただきたいです。その上で「ぜひそうなりたい・やってみたい」という方は一度メールフォームから相談をしていただきたいです。ただ本気の方だけに限らせていただきます。
参照元: 多摩美術大学ホームページ