
はじめに
「毎日のように締め切りに追われてしまう」「夜遅くまで仕事に追われて自分の時間がない」
忙しいグラフィックデザイナー(特にフリーランス)にとって、タイムマネジメントは大きな悩みの1つです。
当然、クライアントとの信頼関係を維持するためには、締め切りを守ることが必須条件です。
締め切りに追われる日々は精神的にもストレスになりますし、余裕がなくなるとクオリティにも影響します。
締め切りに追われる忙しい日々から解放され、ゆとりのある生活を取り戻せたら……。
でも、どうしたら締め切りに追われないようになるだろうか……。
そんな悩みの尽きないグラフィックデザイナーの、スケジュール管理のコツについて紹介したいと思います。
重要性と緊急性のマトリックス
タイムマネジメントやスケジュール管理を語るとき、上の図のような重要性と緊急性のマトリックスというのが出てくることがあります。
7つの習慣など、多くの自己啓発書に書かれていることなので、知っている人も多いと思います。
①緊急かつ重要なこと
②緊急性はないが重要なこと
③緊急性が高いが、じつは重要ではないこと
④重要ではなく緊急性も低く、どうでも良いこと
人間の行動スケジュールには、この4つの領域があるということです。
グラフィックデザイナーの例で言うと、締め切りが近い仕事に追われている状態が①「緊急かつ重要なこと」に当てはまるでしょう。
しかし緊急性と重要性のマトリックスでは、②緊急性はないが重要なことに多くの時間を当てるのが良いとされています。
例えば……
人脈作り
スキルアップなどの研修参加
行動計画を立てる時間
運動などの健康管理
読書や勉強する時間
トラブルを回避する対策
人によって違うとは思いますが、このあたりが例として挙げられます。
しかし、締め切りに追われている日々が多いと、なかなか、この②の象限に時間を当てることができません。
人脈作りや読書の時間を増やさなければ、と思いつつ、なかなかそこに時間を当てることができない人も多いでしょう。
トラブルの予防策を考えていなかったために、トラブルにあって時間を割かれる……なんてこともあります。
また、じつは行動スケジュールを振り返ると、「③緊急性が高いが、じつは重要ではないこと」や「④重要ではなく緊急性も低い」ことに流されていたりします。
例えば、突然の電話やメール対応なんかは、緊急なことですが、じつはそんなたいしたことでなかったりします。
これが③の象限の領域です。「無意味な会議に急に出てくれ」と言われるのも、この③の象限に当てはまるでしょう。
そして、もっとも減らしたいのが、言うまでもなく④重要ではなく緊急ではないこと、つまりどうでも良いことです。
例えば、
YouTubeをダラダラと見ている
長い時間ゲームをしてしまった
意味なく飲み会に参加している
世間話で長電話
このあたりが④の象限になっています。
結構思いつくところがあるのではないでしょうか。
自分の行動を振り返り、それぞれ①~④の象限に当てはめてみましょう。
そして、③④の象限に入っていることを減らしていく。
そして②の象限に当てる時間を増やしていくように心がけるのが大切です。
案外ムダな時間が多いことに気づくと思います。
特にフリーランスのグラフィックデザイナーは、プライベートとビジネスの境界が曖昧です。プライベートの時間も含めて考えるようにしていくと良いでしょう。
この緊急性と重要性のマトリックスをベースにスケジュール管理していくことで、自分にとって本当に大切な時間が見えてきます。
YouTubeにネットサーフィンに…無駄な誘惑にいかに打ち克つか
グラフィックデザイナーにとって、PCは仕事の必須アイテムです。
一方でPCはスケジュール管理の大敵でもあります。
YouTubeにネットサーフィン……PCが仕事道具のグラフィックデザイナーにとって、無駄な誘惑は非常に身近な存在です。
その代わり誘惑として襲いかかってくるのがYouTubeやネットサーフィン。
ずっとPCに向き合ってグラフィックデザインをしているつもりが、いつの間にかYouTubeを1時間も2時間も見てしまう。
そんな経験をしているグラフィックデザイナーの方も多いと思います。
グラフィックデザイナーに限らず、PCを仕事道具にしているフリーランスの方にとって、いかにネットの誘惑に打ち克つかが、かなり重要になってきます。
ネットが繋がらない環境で仕事をする
それでは、いかにYouTubeなどの誘惑に打ち克っていくかというと、敢えてネットの繋がらない環境で仕事をするという手があります。
例えば、Wi-Fiの繋がらないカフェに行って仕事をするとか。
グラフィックデザイナーの方でも、常にネットに繋いでいないと仕事にならないということはないと思います。
探してみると、PCは必要だが、特にネット環境がなくてもできる仕事というのが結構あると思います。
そういう仕事をするときは、敢えてネットに繋げずに仕事をする。そういうことも必要ではないかと思います。
ネット環境のないところで仕事をするというのは、かなり集中力が出てきます。
いろいろな邪念を振り払うことができるので、おすすめの方法です。
スマホを持ち歩かない
PCだけではなく、スマホもスケジュール管理の大きな敵になります。
スマホでFacebookなどのSNSを見て、いつの間にかダラダラと時間を過ごしてしまう。
誰かからメールが来て、集中力が途切れたり、そのやり取りに時間を取られたりしてしまう。そのような方も多いと思います。
外出してカフェなどで仕事をする際は、スマホの電源を切り、敢えて持ち歩かないことも重要です。
そもそも、メールが来たりしても、すぐに対応しなければならないことばかりでしょうか。
ランチの前後とか、仕事を終える前とかでまとめて処理すれば良いことも多いのではないでしょうか。
メールの対応しているつもりが、いつの間にかFacebookをダラダラと見てしまう……なんてこともよくあります。
なので、仕事に集中したいときは、手元にスマホを持たないようにするのも良いでしょう。
PCとスマホの使い方次第で、日々のスケジュール管理が大きく変わる。実際にやってみると実感として湧いてくるでしょう。
付き合う人を選ぶ
グラフィックデザイナーに限った話ではないのですが、付き合う人を選ぶというのも、スケジュール管理では大きな要素です。
人との付き合い方は、日々のスケジュール管理に大きく影響します。
しかし、誰かと一緒にご飯を食べに行く、飲みに行く……。これはあなたにとって、本当に有意義な時間でしょうか。
敢えて距離を置くことも必要な人も多いのではないでしょうか。
特に居心地の良い人間関係から抜け出したり、距離を置いたりすることは勇気のいることだと思います。
しかし、だからといって、なんとなく飲みについていったりするのは、時間を大幅にロスすることになります。
「人間関係を切り捨てろ」とか、そういうことを言いたいのではありません。
でも、適度な距離を置くことはできるのではないかと思います。
人間関係は案外流動的です。付き合う人が変わったり、会う頻度が変わったりするのはごく自然なことです。
人と会うときも、「いま自分にとって必要な時間だろうか」ということを念頭にしていきたいところです。
お客様を選ぶ権利がある

「付き合う人を選ぶ」と言うのは、「付き合うお客様を選ぶ」ということも含まれます。
グラフィックデザイナーの方にも、お客様を選ぶ権利があります。
特にフリーランスのグラフィックデザイナーであれば、どういった人をクライアントにするか、どういった人と組むかということはとても重要になってきます。
質の悪いクライアントだと、時間を大幅にロスしてしまいます。
私の経験上、避けたいクライアントを一部紹介すると、だいたい次のとおりです。
相場で考えても決して高くないのに、「予算がない」「高い」と言ってくる人⇒こういう人に限って、初歩的なことを聞いてきたりするので、時間を取られてしまいます。
skypeやzoomが使えない⇒ググればわかることまで「わからない」とか言ってくる傾向にあるので、データのやり取りに苦労します。
完全に丸投げ客⇒必要な素材を出してこなかったりするので、かなり制作に苦労します。悩む時間が増えるような人とはあまり付き合わないようにしましょう。
趣味の延長で、商品・サービス力が弱い人⇒ヒアリングはなかなか進まないし、素材も得られないので、かなり苦労します
頭が固くて態度がでかい⇒このような人と付き合ってもストレスがたまるだけです。特に即返信しないと怒るような人は要注意です。
また、起業したばかりのフリーランスのグラフィックデザイナーの方は、無料や安価な価格で「教えて」とか「やって」とか言ってくる人に要注意です。
起業したばかりなら、最初は経験を積むために安価で仕事を引き受けることも重要ですが、それも期限を付けるようにしましょう。
価格を高くした途端、クライアントが離れることもありますが、それはその程度のクライアントということです。
ある程度実力を上げたという条件はありますが、離れたクライアントの隙間を埋めるように、高単価の依頼がやってくるようになるものです。
まとめ
以上、できるグラフィックデザイナーのスケジュール管理術についてお話しました。
・緊急性はないが重要なことに時間を増やす
・ネット環境のない場所でスマホを持ち歩かずに仕事してみる
・クライアントを含めて付き合う人を選ぶ
自分なりにスケジュール管理ができるようになると、
・締め切りに追われる日々から解放され、ゆとりのある生活が手に入ります。
・寝る時間を削らなくても良くなります。
・自分の時間を確保できるようになります。
ぜひ、自分にとってどんな時間を過ごすのが有益かを考えながら、スケジュール管理していきましょう。